水質基準値表

水質基準

項目 基準 備考
一般細菌 1mLの検水で形成される集落数が100以下であること。 一般的な清浄度を示す指標で、消毒効果の確認方法のひとつとして検査します。
大腸菌 検出しないこと。 人、家畜または野生動物や鳥類によって最近汚染された下水、下水処理水、及びすべての自然水や土壌に認められます。飲料水中に大腸菌が存在することは、直ちに対応が必要とされる危険な汚染である可能性を示しています。
カドミウム及びその化合物 カドミウムの量に関して、0.003mg/L以下であること。 通常河川水で検出されることはありませんが、鉱山や工場排水などから混入することがあります。公害病の原因ともなりました。
水銀及びその化合物 水銀の量に関して、0.0005mg/L以下であること。 水銀鉱床地帯を流れる河川水や工場排水、農薬などから混入することがあります。公害病の原因ともなりました。
セレン及びその化合物 セレンの量に関して、0.01mg/L以下であること。 生体微量必須元素ですが、濃度が高くなると障害を起こします。鉱山や工業排水から混入することがあります。
鉛及びその化合物 鉛の量に関して、0.01mg/L以下であること。 鉱山や工場排水などから混入することがあります。水道水中には含まれませんが、鉛管を使用している場合に検出されることがあります。
ヒ素及びその化合物 ヒ素の量に関して、0.01mg/L以下であること。 鉱泉、鉱山や工場排水などから混入することがあります。筑後川水系では微量ですが河川水中で検出されることがあります。
六価クロム化合物 六価クロムの量に関して、0.02mg/L以下であること。 鉱山や工場排水などから混入することがあります。
亜硝酸態窒素 0.04mg/L以下 窒素肥料、腐敗した動植物、生活排水などから混入することがあります。亜硝酸性窒素が高濃度に含まれると幼児ではメトヘモグロビン血症を起こすことがあります。
シアン化物イオン及び塩化シアン シアンの量に関して、0.01mg/L以下であること。 工場排水などから混入することがあります。シアン化カリウムは青酸カリとして知られています。
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L以下であること。 窒素肥料、腐敗した動植物、生活排水などから混入することがあります。亜硝酸性窒素が高濃度に含まれると幼児ではメトヘモグロビン血症を起こすことがあります。また、硝酸性窒素は生体内で還元菌によって一部が亜硝酸性窒素に還元されること、亜硝酸性窒素の存在比は硝酸性窒素に比べ十分に低いことなどから合計量について基準が定められています。
フッ素及びその化合物 フッ素の量に関して、0.8mg/L以下であること。 地質に由来や工場排水などから混入することがあります。適量摂取は虫歯予防に効果があるとされていますが、高濃度に含まれると障害を起こすことがあります。
ホウ素及びその化合物 ホウ素の量に関して、1.0mg/L以下であること。 自然水中に含まれることはまれですが、火山地帯の地下水、温泉にはメタほう酸の形で含まれることがあります。また、金属表面処理剤、ガラス、エナメル工業などの工場排水から自然水中に混入することもあります。
四塩化炭素 0.002mg/L以下であること。 揮発性有機化合物で、化学合成原料に使われます。排水などから地下水へ混入することがあります。
1.4-ジオキサン 0.05mg/L以下であること。 溶剤や1.1.1-トリクロロエタン安定剤などの用途に使用されるほか、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤およびその硫酸エステルの製造過程において副生し、洗剤などの製品中の不純物として存在します。
シス-1.2-ジクロロエチレン及びトランス-1.2-ジクロロエチレン 0.04mg/L以下であること。 揮発性有機化合物で、化学合成原料に使われます。排水などから地下水へ混入することがあります。
ジクロロメタン 0.02mg/L以下であること。
テトラクロロエチレン 0.01mg/L以下であること。 揮発性有機化合物で、化学合成原料や塗料、ドライクリーニングなどに使われます。排水などから混入することがあります。
トリクロロエチレン 0.01mg/L以下であること。 揮発性有機化合物で、化学合成原料や塗料、ドライクリーニングなどに使われます。排水などから地下水へ混入することがあります。
ベンゼン 0.01mg/L以下であること。
塩素酸 0.6mg/L以下であること。 塩素酸は、消毒剤の次亜塩素酸ナトリウム及び二酸化塩素の分解生成物です。赤血球に障害を起こすことがあります。
クロロ酢酸 0.02mg/L以下であること。 水道においては水道原水中の有機物質が消毒剤の塩素と反応して生成します。
クロロホルム 0.06mg/L以下であること。 原水中の一部の有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成されます。
ジクロロ酢酸 0.03mg/L以下であること。 水道原水中の有機物質が消毒剤の塩素と反応して生成されます。
ジブロモクロロメタン 0.1mg/L以下であること。 原水中の一部の有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成されます。その生成量は原水中の臭化物イオンの量に依存します。
臭素酸 0.01mg/L以下であること。 オゾン処理時及び消毒剤としての次亜塩素酸生成時に不純物の臭素が酸化されて生成します。
総トリハロメタン(クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン及びブロモホルムのそれぞれの濃度の総和) 0.1mg/L以下であること。 原水中の一部の有機物質と消毒剤の塩素が反応すると、トリハロメタンが生成されます。トリハロメタンには、クロロホルム、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルムがあり、その合計を総トリハロメタンといいます。
トリクロロ酢酸 0.03mg/L以下であること。 水道においては水道原水中の有機物質が消毒剤の塩素と反応して生成します。
ブロモジクロロメタン 0.03mg/L以下であること。 原水中の一部の有機物質と消毒剤の塩素が反応して生成されます。その生成量は原水中の臭化物イオンの量に依存します。
ブロモホルム 0.09mg/L以下であること。
ホルムアルデヒド 0.08mg/L以下であること。 浄水過程で、水中のアミン等の有機物質と塩素、オゾン等の消毒剤が反応して生成します。ホルムアルデヒドの水溶液がホルマリンで、樹脂の原料や農薬、消毒剤、界面活性剤に使用されます。
亜鉛及びその化合物 亜鉛の量に関して、1.0mg/L以下であること。 地質に由来や工場排水などから混入することがあります。また、亜鉛メッキ鋼管からの溶出により検出されることもあります。1mg/L を超えるとお湯が白濁したり、お茶の味が悪くなるなどの障害が起こります。
アルミニウム及びその化合物 アルミニウムの量に関して、0.2mg/L以下であること。 地球上に広く多量に分布していますが、溶解度が小さいので、自然水中に含まれる量は少ない。水道ではアルミニウム系凝集剤として浄水処理に用いられます。通常では問題のない低濃度の鉄が、アルミニウムの存在下では発色することがあります。
鉄及びその化合物 鉄の量に関して、0.3mg/L以下であること。 地質に由来や工場排水などから混入することがあります。また、鉄管からの溶出により検出されることもあります。高濃度に含まれると、不快な臭味(金属味・収れん味など)を与えたり、洗濯物の着色の原因となります。
銅及びその化合物 銅の量に関して、1.0mg/L以下であること。 鉱山や工場排水、農薬などから混入することがあります。また、給水装置などに使用される銅管からの溶出により検出されることもあります。高濃度に含まれると、衛生陶器、タイル、布などの着色の原因となります。
ナトリウム及びその化合物 ナトリウムの量に関して、200mg/L以下であること。 工場や生活排水の混入や海水の混入、浄水処理過程で使用する薬品(苛性ソーダ、次亜塩素酸ナトリウム)に由来し、高濃度に含まれると、味覚を損なう原因となります。
マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して、0.05mg/L以下であること。 地質に由来や鉱山、工場排水などから混入することがあります。水道水中に含まれると、消毒塩素で酸化され黒い水の原因となります。
塩化物イオン 200mg/L以下であること。 海水の浸透、下水、家庭排水、工場排水や屎尿などから混入することがあります。高濃度に含まれると、味覚を損なう原因となります。
カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300mg/L以下であること。 硬度とはカルシウムとマグネシウム塩の合計量をいい、主として地質に由来します。おいしい水の要件としては硬度成分が10~100mg/L 程度で、中でも50mg/L 前後が多くの人に好まれるそうです。
蒸発残留物 500mg/L以下であること。 水を蒸発させたときに得られる残留物のことで、主な成分は塩類及び有機物です。残留物が多いと苦み、渋みなどを付け、適度に含まれるとまろやかさを出すとされます。
陰イオン界面活性剤 0.2mg/L以下であること。 生活や工場排水などから混入し、高濃度に含まれると泡立ちの原因となります。
(4S,4aS,8aR)-オクタヒドロ-4,8a-ジメチルナフタレン-4a(2H)-オール
(別名:ジェオスミン)
0.00001mg/L以下であること。 湖沼等で富栄養化現象に伴い発生する異臭味(かび臭)の原因物質です。ある種の藍藻類と放線菌が生産します。水中にごく微量に含まれていても感知されます。
1,2,7,7-テトラメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン-2-オール
(別名:2-メチルイソボルネオール)
0.00001mg/L以下であること。 湖沼等で富栄養化現象に伴い発生する異臭味(かび臭)の原因物質です。ある種の藍藻類と放線菌が生産します。水中にごく微量に含まれていても感知されます。
非イオン界面活性剤 0.02mg/L以下であること。 界面活性剤のうちイオンに解離する基を持たない物質の総称をいいます。発泡を防止する観点から基準値が決められています。
フェノール類 フェノールの量に換算して、0.005mg/L以下であること。 工場排水から混入することがあります。微量でも異臭味の原因となります。
有機物(全有機炭素(TOC)の量) 3mg/L以下であること。 有機物による汚れの度合いを示します。土壌に起因するほか、下水、工場排水、屎尿の混入でも増加します。多いと、渋みや苦みの原因となります。
pH値 5.8以上8.6以下であること。 水の酸性、アルカリ性の指標で、pH7で中性です。値が7より小さいと酸性で、その値が小さくなるほど酸性は強くなり、7より大きくなるほどアルカリ性が強くなります。降雨、地層、土壌、工場排水、汚濁物の混入、生物の炭酸同化作用など様々な要因で河川水のpHは変化します。
異常でないこと。 地質や海水の浸透、工場排水や化学薬品の混入、藻類などの生物の繁殖のほか、給配水に使用される管の材質や内面塗装剤によって変化します。
臭気 異常でないこと。 地質、工場排水や化学薬品の混入、藻類などの生物の繁殖のほか、給配水に使用される管の材質や内面塗装剤によって変化します
色度 5度以下であること。 水についている色の程度を示します。基準の範囲内であれば無色な水といえます。
濁度 2度以下であること。 水の濁りの程度を示します。基準の範囲内であれば濁りのない透明な水といえます。